インテグラル株式会社
従業員の状況
年収偏差値
135.3
平均年収
1,657万円
平均年齢
38.0年
平均勤続年数
4.7年
従業員数
71人
事業の状況
3【事業の内容】当社グループは、当社、連結子会社31社、公正価値で評価している子会社20社、及び関連会社1社により構成されております(2023年12月31日時点)。当社グループは、主として未公開株式会社への投資を目的とする「投資事業有限責任組合」及び「リミテッド・パートナーシップ」(注1)等を組成し、運用しております。当社グループが運営するファンドは、投資事業有限責任組合契約に関する法律(以下、「投資事業有限責任組合契約法」という。)及び外国法制に基づくプライベートエクイティ・ファンド(以下、「PEファンド」という。)であり、PEファンドを通じて対象企業への投資を実行します。当社グループは、PEファンドのゼネラル・パートナー(以下、「GP」という。)(注2)として管理運用を行い、管理報酬を得るとともに、投資先企業への経営支援等を提供し、その経営に積極的に関与することで企業価値を高め、株式上場やトレードセール等のEXITによってキャピタルゲインを得ております。また、当社グループは、一定のルールの下にPEファンドを通じての投資と併せてプリンシパル投資(注3)も行うことにより、当社の収益機会の拡大を図っております。当社グループの事業は、投資事業の単一セグメントからなっております。当社グループの特徴は以下のとおりです。① 中堅企業への特化当社グループは、日本の中堅企業へのコントロール投資(注4)を主なターゲットにしており、この市場セグメントに位置する約121,000社(年商10億円以上1,000億円以下)(※1)を投資対象とすることを原則としており、国内投資比率は100%となっております。同セグメントの中堅企業は、資金ニーズに加えて経営上のノウハウと支援を必要とする難易度の高い案件であることが多く、PEファンドは、高い専門性と実績を有することが必須となっております。当社グループは、同セグメント内をターゲットとする同業他社に比して、多くの実績を有している独立系PEファンドとしての地位を確立しております。(※1)出所:帝国データバンク(2024年2月) ② ハイブリッド投資(注5)PEファンドによる投資は、短期間の投資とみられることが多いことから、日本の企業経営者は、一般的にPEファンドとかかわりを持ちたがらない傾向があります。この状況を改善するため、当社はプリンシパル投資とファンド投資を並行して行うハイブリッド投資を開発しました。ハイブリッド投資を行うにあたり、プリンシパル投資部分の投資期間を、ファンド投資部分の投資期間よりも長期に設定することにより、投資先企業の経営者、起業家又はオーナーに対して、当社グループが安定株主として、より長期のコミットメントを示すことを企図しております。具体的には、ファンドによる投資先企業に対する投資(ファンド投資。なお、ファンド投資の原資となるファンド資金には、原則として2%相当の当社グループによるGP出資が含まれます。)に加えて、プリンシパル投資として、ファンド投資に係る投資額及びプリンシパル投資に係る投資額の合計額の一定割合(案件ごとに3%以上34%以下。また当該ファンドの全投資先に対するプリンシパル投資の総額はファンド投資及びプリンシパル投資による投資総額の20%以下。)を当社グループの自己資金(借入金を含む。)により投資先企業に対して投資することをハイブリッド投資の仕組みとしております。今後は、手元資金の活用により、プリンシパル投資の割合の拡大を目指したいと考えております。
③ i-Engine(注6)による常駐型経営支援中堅企業の経営資源は一般的に限られており、多くの場合、オーナー企業としての企業カルチャー、親会社による人的・資金的な投資の不足や全体的なマネジメント力の不足などの制約に直面しており、経営・オペレーションの方法を改善するために具体的な業務支援を求めております。当社グループとしては、このように中堅企業が経営上のリソースの不足という問題を抱えていること自体が、当社グループによる価値創造の重要な機会となり得ると考えております。そこで、経営上のリソース不足に起因する課題の解決手段として、投資実行後に投資先企業から要請のあった場合には当社グループのメンバー(当社では投資プロフェッショナルと呼称)を派遣し、当該課題の解決を図る当社グループ特有の機能を開発しました。役員派遣を始めとして、様々な方法で投資先企業の経営課題の解決を図ろうとするハンズオン型(注7)のファンドは珍しくないものの、当社のように役員派遣だけでなく、実務スタッフとして多様なバックグラウンドを持つ投資プロフェッショナルを一定期間、投資先企業に常駐させる手法を取るPEファンドは稀であると認識しております。なお、i-Engineの仕組みの概要図は以下のとおりです。
④ 幅広い投資機会への対応力当社グループは、日本の中堅企業が抱える課題への対応力、幅広い投資機会への対応力を備えております。投資経験豊富なパートナーと投資プロフェッショナルで構成される、多種多様なバックグラウンドを有する経験豊富なチームが、個々の企業が抱える課題に対して、i-Engine機能を活用することにより積極的に経営に関与し、課題解決に取り組みます。また、当社グループは投資時点から多様なEXIT手法を想定し、柔軟に実行することができると考えております。
a.事業承継2022年11月時点において、日本の中小企業経営者の最多の年齢群は70~74歳であり、また70歳以上の中小企業経営者の割合は全体の4分の1を超えており(※1)、将来的には後継者不在・未定の会社数がさらに増加するものと考えております。今後、経営者の高齢化により、事業承継を課題とする多くの企業が経営資源の充実や経営権変更による支援を必要となり、こうした企業は長期的視点を持つパートナーを求めていることが多く、当社グループが独立系のPEファンドであることや、当社グループによるファンド投資とプリンシパル投資を組み合わせた長期的投資のアプローチは、当社がこれまで投資を行ってきた投資先企業の経営者から高く評価されています。(※1)出所:中小企業白書(2023年) b.再成長中堅企業の中には、強固なビジネスモデルを持ちながらも事業領域の拡大を図るとともに、更なる売上の拡大を目指す企業があります。当社グループはこのようなニーズにも十分に応えられる実績とノウハウを有しております。
c.再生強固なビジネスモデルと市場ポジションを持ちながらも、過去の戦略や財務的失敗のために企業再生を要する企業が少なからず存在します。そうした企業に対して当社グループが資本参画の上、i-Engineを通じた経営支援を行うことで、時間的にも経済的にも効率の高い方法で企業価値を拡大することに寄与できると考えております。再生企業への投資にあたっては価値を創造するスキルと十分な経験が求められますが、当社グループは創業以来、再生案件においても実績を残しております。
d.カーブアウト大企業による集中と選択の中で、既存事業の売却(カーブアウト)を図る場合においても、幅広い分野での投資経験を有し、様々なバックグラウンドを持つ投資プロフェッショナルを擁する当社グループが当該事業を取得の上、経営サポートを行うことで、売主である企業及びカーブアウトされた企業双方にとって望ましい企業価値の最大化に寄与できるものと考えております。
e. 戦略的株式非公開化一部の中堅上場企業においては、上場維持のメリットよりも、アクティビスト(注8)等の外部株主からの影響を遮断することによる経営の自由化等のメリットの重視により上場の是非を検討する場合があります。このような企業の中には、上場意義の見直しに至り、戦略的に非公開化の可能性を求めている企業が増加しているものと認識しております。こうした中で、PEファンドが非上場化の有効なパートナーとして求められており、当社グループはこのようなニーズにも対応しております。
f.セカンダリーバイアウト(注9)今後日本のプライベートエクイティ業界の成熟に伴い、ファンドの投資案件を対象とした二次バイアウトの機会が今後生じてくると予想されます。当社グループは、このようなニーズにも対応しております。
g.PIPEs(注10)取引関係を重視した銀行借入れはこれまで広く普及しており、数多くの企業がそうした状況の下で借入過多となる中、財務状況を改善し、長期的な持続可能性を獲得するための資本構成の再構築を図り、本業回帰を目指す企業が存在します。このような企業は、資本基盤を強化し、成長のための資金と支援を獲得すべく、市場を通じた資金調達が難しい状況であっても、PEファンドによる上場会社からの第三者割当の引き受けにより、機動的な資金調達を求めていると考えております。当社グループはこのようなニーズにも対応しております。
h. i-Bridge当社グループは、機動的な投資実行の実現のため、自己資金をブリッジ・ファイナンスとして用いるi-Bridge(注11)機能を有しております。これにより、投資実行前の資金調達が不要となり、投資検討から実行までのリードタイムの大幅な短縮、投資案件情報の秘匿維持効果が期待できます。その結果、競争力及び機動力のある投資スキームを構築することができ、大型の投資案件や共同投資を活用した投資案件等への対応も可能としています。
⑤ ファンドの概要当社グループが運用を行うフラッグシップファンドの概要は以下のとおりです。以下表内の出資約束金額とは、組合契約においてLP投資家が当社ファンドに出資を行うことを約束した金額を指しています。
2号ファンドシリーズはインテグラル2号投資事業有限責任組合及びIntegral Fund II (A) L.P.の総称、3号ファンドシリーズはインテグラル3号投資事業有限責任組合及びInnovation Alpha L.P.の総称、4号ファンドシリーズはインテグラル4号投資事業有限責任組合、Innovation Alpha IV L.P.及びInitiative Delta IV L.P.の総称です。また投資事業有限責任組合は、日本国内で組成されたファンドで主に国内のLP投資家が出資を行い、L.P.(リミテッド・パートナーシップ)はケイマン諸島で組成されたファンドで主に海外のLP投資家が出資を行っております。
⑥ ファンドの収益の概要当社グループの主な収益は以下のとおりです。当社グループの収益としては、下記のファンド収益の他に当社グループの自己資金による投資持分の売却に伴う利益であるプリンシパル投資収益があります。a.管理報酬管理報酬は、GPとしてファンドの運用を行うことに対する対価であり、ファンドの投資残高又は出資約束金額に対して一定の割合(1.85%~2.0%/年)を管理報酬として毎四半期ごとに受領することができます。b.キャリードインタレストキャリードインタレストは、ファンドのリターンのうち、当社がGPとして分配を受けることができるものであり、ファンドが投資先企業から稼得した収益(投資先企業の株式譲渡の対価等)から投資額及び組合費用(管理報酬及びファンド運営にかかる専門家費用等)等を除いたファンドにおける利益がハードルレート(出資履行金額に対して年率8%)を超過した際に、それまでのファンド利益累計額の20%を受領(ただし、役職員によるGP出資分を除く。)することができます。c.経営支援料経営支援料は、当社の役職員が投資先に常駐して経営支援活動を行うことに対する対価であり、投資先企業ごとに一定金額を当社グループが受領することができます。
[用語解説]「第1.企業の概況 3.事業の内容」にて使用している用語の定義は、以下のとおりです。注 1投資事業有限責任組合(リミテッド・パートナーシップ)投資事業有限責任組合とは、投資事業有限責任組合契約法に基づいて設立される、投資家が出資金の範囲で責任を負う事業組織のことであり、いわゆる“ファンド”を指します。有限責任組合員となる投資家(以下、下記のリミテッド・パートナーシップに出資をするリミテッド・パートナーとともに「LP」という。)には出資額に応じた収益が分配され、損失が生じた場合の負担に上限があります。リミテッド・パートナーシップは、ケイマン諸島で設立される投資事業有限責任組合と類似する事業組織であり、当社グループが投資事業有限責任組合とともに運用を行うものです。2ゼネラル・パートナー無限責任組合員を意味し、ファンドの運営に対して無限責任を負う組合員のことです。当社ファンドにおいては、投資・EXIT等の意思決定を行い、ファンド運営に関する一切の権限を有しており、ファンド運営の対価として、組合から管理報酬を受領します。当社ファンドにおけるゼネラル・パートナーは、当社の子会社又は役職員が出資を行う投資事業有限責任組合が務めております。3プリンシパル投資自己資金(借入金を含む。)によって投資を行うことです。当社グループにおいては、主にLPから集めてきたファンド資金によるファンド経由の投資(ファンド投資)ではなく、当社グループの自己資金による投資を「プリンシパル投資」と呼称しています。4コントロール投資資本構成上マジョリティの維持、又は取締役の派遣等を通じて、当社グループによって経営をコントロールできる形で投資するスキームについて、「コントロール投資」と呼称しています。5ハイブリッド投資主にLPから集めてきたファンド資金によるファンド経由の投資(ファンド投資)に加え、当社グループの自己資金による投資(プリンシパル投資)も並行して実行するスキームを「ハイブリッド投資」と呼称しています。6i-Engine当社グループによるハンズオン型経営支援を「i-Engine」と呼称しています。7ハンズオン型出資者であるPEファンドが投資先企業の経営に直接参画することを指します。8アクティビスト株式を一定程度取得した上で、その保有株式を裏付けに、投資先企業の経営に関して役員の交代や大幅な増配等の過激なコーポレートアクションに係る提言を積極的に行い、比較的短期での自己利益の最大化を目指す投資家のことを指します。9セカンダリーバイアウトファンドの投資先企業を別のファンドが買収する二次買収を指します。10PIPEs「Private Investments in Public Equities」の略称であり、PEファンドが上場企業の第三者割当を引き受けることを指します。11i-Bridge当社グループの自己資金を投資先企業への投資のためのブリッジ・ファイナンスに用いる投資スキームを「i-Bridge」と呼称しています。
[事業系統図]
出典 : EDINETより抜粋して作成